
裏側矯正に興味があるけど、デメリットが多いって本当かな?



治療期間や費用は、他の矯正治療と比べるとどうなるんだろう?
など、裏側矯正に興味がある方。
本記事では、日本矯正歯科学会・認定医の下元が、治療前に知っておくと役立つ「裏側矯正のメリット・デメリット」を紹介していきます。



ぜひ本記事を読んで、治療法を検討する際の参考にしてくださいね!
- 裏側矯正に興味がある方
- 裏側矯正の良いところだけではなく、ダメなところも知りたい方
- 表側矯正やマウスピース矯正との違いを知りたい方
下元 康英(しももと やすひで)
大阪(梅田)・東京(新宿)の2院で理事長と矯正担当医を兼務。
患者さま利益を追求した治療をするために、治療の長所だけでなく欠点も丁寧に伝えるカウンセリングに力を入れている。


日本矯正歯科学会・認定医
オランジェ矯正歯科グループ理事長
裏側矯正の4つのメリット


目立たない矯正治療の代表格である「裏側矯正」
メリットは大きく分けて
- 治療中でも矯正装置が目立たちにくい
- 装置に食べかすがはさまっても、目立ちにくい
- 表側矯正に比べて、虫歯になりにくい
- マウスピース矯正では難しい症例にも対応できる
の4つです。



それぞれどういうことか、詳しく解説しますね!
①治療中でも矯正装置が目立たちにくい


裏側矯正は、その名のとおり「歯の裏側に矯正装置をつける治療法」です。
口を開けても、矯正装置が見えにくいので、
- 周囲に気づかれずに矯正治療したい方
- 接客業など、人と顔を合わせる仕事をしている方
にとってメリットが大きい治療法だと言えるでしょう。
②装置に食べかすがはさまっても、目立ちにくい
裏側矯正は表側矯正とは違い、「装置に食べかすがはさまるのをあまり気にせず最後まで食事を楽しめる」メリットがあります。
なぜなら、裏側矯正は
- ワイヤー
- ブラケット
などの器具が歯の裏側についているため、食べかすがはさまっても他の人からは見えないからです。
マウスピース矯正の場合は、食事中にマウスピースを外すので装置に食べかすがはさまる心配はありません。
ただし、
- 外食の場合は、ひと目があるので着脱時にトイレ等に行く手間がある
- 食後は歯磨きをして、すぐにマウスピースをつけ直す必要がある
- 1日約20時間の装着時間を守るために、ゆっくり食事の時間を楽しめない
といったデメリットがあります。



マウスピース矯正は、裏側矯正のように装置をつけたまま食事を楽しむ気軽さがない点に注意が必要ですね!
③表側矯正に比べて、虫歯になりにくい
裏側矯正の3つ目のメリットは、「表側矯正に比べると虫歯になりにくい」点です。
なぜなら、歯の裏側は
- 表側に比べてエナメル層が3倍近く厚い
- 唾液が循環しているので、虫歯菌が増殖しにくい
といった特徴があり、表側の歯に比べて虫歯のリスクがあまり高くないからです。
矯正装置がつくと、通常よりも歯磨きが難しくなるので嬉しいメリットだと言えるでしょう。



もちろん裏側矯正でもお手入れは必須です。
歯医者で歯磨き指導を受けて、適切に管理していきましょう!
④マウスピース矯正では難しい症例にも対応できる


裏側矯正の4つ目のメリットは、「基本的には表側矯正と同様に、様々な症例に対応できる」点です。
マウスピース矯正は重度の
- デコボコの歯並び(叢生)
- 出っ歯(上顎前突)
- 受け口(下顎前突)
には不向きな治療法になります。
さらに、インプラントが入っていたり抜歯が必要な矯正治療には適応しない場合もあるので注意が必要です。



同じ目立たない矯正でも、選べる治療法は患者さまのお口の状態によって異なります。
気になる場合は、一度矯正専門の歯医者で検査・診断を受けてみましょう!
では次に、裏側矯正のデメリットを紹介します。
裏側矯正の5つのデメリット


裏側矯正の代表的なデメリットは、
- 舌の違和感や痛み
- 滑舌が悪くなる
- 表側矯正に比べて費用が高い
- 表側矯正よりも治療期間が長い
- 表側矯正に比べて、仕上がりに難が出やすい
の5つです。



それぞれのポイントを具体的に紹介していきますね!
①舌の違和感や痛み
裏側矯正の1つ目のデメリットが、「舌の違和感や痛み」です。
これは、歯の裏側に装置があり、舌が引っかかったり当たったりすることが強く関係しています。
ただし、上の歯は舌が当たりにくく違和感が少ないため、約2週間~1ヶ月経つと慣れてくる方が多いです。
一方で下の歯の裏側矯正は不快感が出やすく、違和感や痛みを長期間感じる方もいます。
心配な場合には、記事後半で紹介するハーフリンガル矯正を検討するのもおすすめでしょう。
また、慣れるまでの間に違和感や痛みが強く出た場合は、装置のクッションになる矯正用ワックスやお薬の処方などで対応することになります。



当院では、お試し矯正システムを採用しております。
裏側矯正の痛みや違和感が心配な方は装置が自分に合っているか試してから、治療法を選択していただくことも可能ですよ!
②滑舌が悪くなる
裏側矯正の2つ目のデメリットが、「滑舌が悪くなる」点です。
歯の裏側に装置があり、舌の動きを制限されることが強く関係しています。
特に、
- サ行
- ザ行
- タ行
- ダ行
- ナ行
- ラ行 など
は発音が不明瞭になる傾向があるでしょう。
ただし、こちらも約2週間~1ヶ月経てば、口の中に矯正装置がついている状態に慣れてきて通常に近い発音ができるようになります。
人前で話す仕事などをされている方で、短期間でも滑舌の悪さが気になる場合は、
- インコグニート:口の中で厚みを感じにくい
- クリッピーL:小型化されている
- stbライトリンガルシステム:小型化されている
のように滑舌への影響が少ない矯正器具を選ぶことも可能です。



一口に裏側矯正といっても、治療範囲やお口の状態によって選べる矯正器具が大きく異なります。
まずは担当医と相談をして、自分に合う治療の選択肢を検討してみましょう!
③表側矯正に比べて費用が高い
裏側矯正の3つ目のデメリットが、「表側矯正に比べて治療費が高くなる」点です。
治療費の大まかな比較
表側矯正 | 裏側矯正 | ハーフリンガル矯正 |
---|---|---|
![]() ![]() | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
約80~120万円 | 約140万円 | 約120万円 |
- 上記はすべての歯に装置をつけた場合の目安総額です。
- 治療範囲や矯正器具などによって、治療費は大幅に異なります。
なぜなら歯の裏側は、
- 表側と比べてデコボコしていて形が複雑になっている
- 表側と比べて歯の状態が見にくく、調整が難しい
といった理由から
- 矯正器具をオーダーメイドで用意する必要がある
- 表側矯正よりも治療に手間や時間がかかる
ため、どうしても費用がかかってしまうからです。



見た目を優先させるためにコストを払えるかについても、慎重に比較検討してみてくださいね!


④表側矯正よりも治療期間が長い


裏側矯正の4つ目のデメリットが、「表側矯正に比べて治療期間が長い」点です。
裏側矯正の場合は、
- 一人ひとりの患者さまに合ったオーダーメードの矯正器具を製作する
- 複雑な構造の歯の裏側に合わせて、矯正器具を調整する必要がある
- 矯正器具を噛んでしまうことがあるため、故障リスクが表側より高い
といった理由から、表側矯正に比べて約6ヶ月~1年ほど治療期間が長くなる傾向があるのです。
ただし最近では、デジタル技術の導入による矯正器具の製作時間の短縮により、以前に比べて大幅に治療期間が短くなっています。



実際にどのくらい治療期間がかかるかは、患者さまのお口の状態によって異なります。
詳しくは、矯正専門の歯医者で相談をしてみましょう!
⑤表側矯正に比べて、仕上がりに難が出やすい
裏側矯正の5つ目のデメリットが、「表側矯正に比べて仕上がりに難が出やすい」点です。
裏側矯正は、
- 装置の構成上制限が多く
- どんなに頑張っても調整に限界があるため
表側矯正に比べると、仕上がりのレベルが少し落ちてしまうケースがあります。
そのため、仕上がり重視の場合には、表側矯正を選んだほうが良い場合もあるでしょう。



お口の状態によっても、仕上がりは大きく異なります。
裏側矯正を選んでも仕上がりに問題がないか否か気になる場合は、矯正専門の歯科医師に相談してみてくださいね!
では次に、デメリットが多い裏側矯正は選ばないほうが良いのか?について説明していきます。
Q.デメリットが多い裏側矯正より他の治療法を選ぶべき?


A.答えは、NOです。
なぜなら、どの治療法にも一長一短があるからです。
例えば、



とにかく安く早く治療を終わらせたい!



お金や時間はかかってもいいから、矯正装置が目立たない形で歯並びを治したい。
というケースでは、それぞれ適切な治療法が変わります。
前者の場合には、表側矯正のほうが患者さまの希望に近い治療ができる可能性が高いです。
一方で、後者は裏側矯正を選んだほうが治療の満足度が高くなる可能性があります。



「滑舌が悪くなる」でもお伝えしましたが、一口に裏側矯正といっても様々な器具や治療法があります。
まずは担当医と相談してから、自分に合う治療の選択肢を検討してみるのがおすすめですよ!
ハーフリンガル矯正は裏側矯正の欠点を大幅に解消できる





裏側矯正が良いけど、やっぱり滑舌が悪くなったり舌に装置が当たるのが気になる
という方には「ハーフリンガル矯正」という選択肢もあります。
ハーフリンガル矯正は、
- 上の歯は裏側矯正
- 下の歯は表側矯正
で行う治療法のことです。
具体的には、
- 上下裏側矯正にするよりも、治療費が安くなる
- 上下裏側矯正よりも、治療期間が短い
- 下の歯を表側矯正にすることで、口の中の違和感や滑舌への悪影響を大幅に軽減できる
- 上の歯を裏側矯正にすることで、矯正器具が目立ちにくくなる
といった4つのメリットがあります。



表側矯正と裏側矯正のいいとこ取りができる治療法なので、悩んだ場合はこちらも治療の選択肢に加えてみましょう!
結論:裏側矯正はデメリットもふまえた上で治療を選択しよう!
それでは最後に、裏側矯正について重要なポイントをおさらいしていきます。
裏側矯正のメリットは大きく分けて、
- 治療中でも矯正装置が目立たちにくい
- 装置に食べかすがはさまっても、目立ちにくい
- 表側矯正に比べて、虫歯になりにくい
- マウスピース矯正では難しい症例にも対応できる
の4つです。
一方で、
- 舌の違和感や痛み
- 滑舌が悪くなる
- 表側矯正に比べて費用が高い
- 表側矯正よりも治療期間が長い
- 表側矯正に比べて、仕上がりに難が出やすい
といった5つのデメリットがあります。
裏側矯正のデメリットが気になる場合には、滑舌の悪さや口の中の違和感を大幅に軽減してくれる「ハーフリンガル矯正」という治療法を選んでみるのもおすすめです。
どの矯正装置にも一長一短があるので、まずは矯正専門の担当医に相談をした上で治療法を検討してみてくださいね!
以上、今回は裏側矯正についてお話しました。



本記事を読んでも分からない点がある場合には、ぜひ遠慮なくお問い合わせください。
患者さまの話を直接お伺いした上で、ベストな治療法をご提案させていただければと思います!
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