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歯並びに影響する恐れがある「歯ぎしり」のチェック&対処法

無意識に強い力で歯をこすり合わせる「歯ぎしり」は、就寝中に起こることが多く、歯をこすり合う音で周囲に不快な思いをさせるだけでなく、体にさまざまな問題を引き起こす恐れがあり、場合によっては歯並びにも影響することがあるといわれています。

軽く見てはいけない歯ぎしりですが、その原因や、心配のない歯ぎしりと注意すべき歯ぎしりの違い、対処法・治療法などについて解説します。

目次

歯ぎしりとは?

歯ぎしりは、無意識に歯と歯をこすり合わせたり食いしばったりする「ブラキシズム」と呼ばれる習癖の一種です。

ブラキシズムには、次のような種類があります。

  • グラインディング:石臼のように上下の歯をこすり合わせること
  • クレンチング:歯を食いしばること
  • タッピング:上下の歯をカチカチと打ち合わせる動作のこと

グラインディングやタッピングは日中に現れることはほとんどありません。

ただ、クレンチングだけは、日中、仕事に集中しているときやパソコン作業に没頭しているときなどに無意識に行っていることがあります。日中のクレンチングはいつのまにか歯を食いしばっている自分に「はっ」と気付くことで自覚しやすいのですが、就寝中は歯ぎしりをしていてもなかなか気付けません。多くの場合、隣で寝ている家族といった身近な人に指摘されて初めて、自分に歯ぎしりの癖があることを知ります。

自覚がない場合でも、次のようなことがあれば歯ぎしりをしているサインかもしれません。

  • 朝起きたときに、口の周りがこわばる、顎が疲れている・だるい
  • 朝起きたときに、頬の内側や舌にかんだ痕がある
  • 食事のときに口を開けにくくなった
  • 肩こりや頭痛がひどくなった
  • 冷たいものが歯にしみるようになった

歯ぎしりをする原因

就寝中に起こる歯ぎしりは、日中の肉体的・精神的ストレスなどが引き金となって起きる脳の興奮がきっかけになっているといわれています。つまり、寝ているときに無意識に歯ぎしりすることで、日中にたまったストレスを解消しようとしているのだと考えられるのです。一般的に使われるストレスとは精神的に思い悩むことによって溜まると考えられていますが、肉体的なストレスもあります。スポーツや旅行などで体が疲れてしまった時にもやはり脳はストレスを感じてしまいます。

ストレスを解消する無意識の活動であるなら、決して悪いものではないと思うかもしれません。しかし、後述するように、その代償は軽視できないほど大きいため、やはり対処が必要です。

ストレス以外にも、次のような原因が考えられます。

小児期の生理的なもの

乳歯から永久歯に生え変わる6~12歳くらいの期間は、歯の位置も変わりやすい時期であるため、その調整に歯ぎしりが必要だといわれています。実際、10歳くらいまでは就寝中に歯ぎしりする子は多く、そのほとんどは基本的に問題のない生理的な歯ぎしりなので心配ありません。

歯並びの悪さ

歯並びが悪いと、かみ合わせたときに特定の歯だけが強く当たり、それが気になって歯ぎしりすることがあります。

飲酒

詳しいメカニズムは分かっていませんが、アルコールのとり過ぎで歯ぎしりが悪化することがあります。

歯並びへの影響は?

小児期の生理的な歯ぎしりなら、歯並びへの影響を心配する必要はほとんどありません。

ただし、歯の生え変わりの時期であっても、起きているときにも歯ぎしりや食いしばりがある、就寝中の歯ぎしりが頻繁で激しい、起床したあとに顎を痛がるなど気になることがあれば、歯科医院を受診すると安心です。生え変わりが完了し、すべて永久歯になってから習慣的な歯ぎしりがある場合は、歯並びへの影響が心配されます。

無意識下の歯ぎしりは、意識してかむときの数倍ともいわれる大きな力が歯にかかるため、習慣的な歯ぎしりによって歯が摩耗してかみ合わせが変わったり、出っ歯になってきたり、歯と歯に隙間ができてきたりすることがあるのです。

また、歯ぎしりによるダメージが歯周病を促進して、歯を支える歯槽骨という骨が溶け、歯の生える方向が変わってしまう恐れもあります。

歯並び以外にも、次のような影響が考えられます。

  • 歯にひびが入る・歯が欠ける
  • 補綴(ほてつ)物が壊れる
  • 関節円板にずれが生じて顎関節症になる
  • 筋緊張により頭痛や肩こりが起こる

歯のひびや欠けによって虫歯になりやすくなったり、知覚過敏が起こったりすることもあります。

対処法と治療法

歯ぎしりの起こる原因にはさまざまなものがあり、発生するメカニズムもまだよく分かっていないため、多くの場合、歯を守る装置を着けながらさまざまな治療を組み合わせていくという方法をとります。

ナイトガードによる対症療法

就寝中の歯ぎしりが続く場合は、まず、「ナイトガード」と呼ばれるマウスピース型の人工のプラスチックカバーを装着し、上下の歯が当たらないようにして歯を守るのが一般的です。

歯ぎしりの原因のほとんどはストレスといわれていますが、ストレスの多いこの時代、根本的な原因を完全に取り除くのは不可能といっても過言ではありません。そのため、ストレスをできるだけ解消するよう取り組みながら、残ってしまった歯ぎしりの問題を別の方法で軽減させるのが現実的といえます。そのための装置がナイトガードです。このように、症状を軽減するために行う治療法を「対症療法」といい、病気の原因そのものを制御する「原因療法」と区別されます。

汎用のマウスピース型装置も薬局で市販されていますが、歯並びは一人ひとり異なるため、それぞれの歯並びに合った装置を使わなければ十分な効果は期待できません。ナイトガードは保険適用なので、歯科医院できちんと歯型を取って作ってもらいましょう。

根本原因の改善

歯ぎしりの原因はさまざまで特定するのは簡単ではありませんが、可能性のある根本原因に合わせて対処し、症状の改善を試みていきます。

ストレスが原因なら、時間を見つけて軽い運動やストレッチを行ったり、寝る前にリラックスタイムをとって趣味の時間に充てたりしてストレス解消を図ります。

歯並びの悪さが原因なら歯並びを整えることが歯ぎしり改善につながるので、歯科医院で歯列矯正を相談してみましょう。

飲酒が原因と思われるなら、お酒を飲む量や回数を減らしたりしてみます。多く飲酒した時にはナイトガードを使用してみるというのも一つの手だと思います。

二次障害が出る前に、まずは歯ぎしりのサインをチェック!

歯ぎしりは、無意識的に就寝中に起こる行動のため自覚することがなかなか難しいのですが、その影響は意外に大きく、二次障害として歯並びを悪くする恐れがあるほか、肩こりや頭痛などさまざまな症状にまで及ぶことがあります。まずは、歯ぎしりしているかどうかに気付くことが大切なので、歯ぎしりのサインがないかチェックして、疑いがあれば、二次障害が出る前に歯科医院や矯正歯科を受診してください。

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