- 矯正したいけど、今後引っ越すかもしれない
- せっかく矯正治療をはじめたのに、急に転勤が決まった
- 矯正治療後に結婚して引っ越すことになった
など、ライフイベントの変化で引っ越しがあることを考えると、

先の予定がわからないのに、矯正治療しても大丈夫かな?



治療中や治療後に引っ越しが決まったら、どうすればいいんだろう?
と心配になりますよね。
そこで本記事では、日本矯正歯科学会・認定医の下元が、
- 矯正治療中の引っ越しで起きる3つの問題
- 治療前に引っ越しが分かっている場合の3つの対処法
- 治療中に引っ越しが決まった場合の2つの対処法
- 治療後の引っ越し時に知っておきたいポイント
の順に矯正治療と引っ越し時の重要なポイントを簡単に紹介していきます。



本記事を読めば、引っ越しが決まったときに焦ったり損をしないようになりますよ!
下元 康英(しももと やすひで)
大阪(梅田)・東京(新宿)の2院で理事長と矯正担当医を兼務。
患者さま利益を追求した治療をするために、治療の長所だけでなく欠点も丁寧に伝えるカウンセリングに力を入れている。


日本矯正歯科学会・認定医
オランジェ矯正歯科グループ理事長
矯正治療中の引っ越しで起きる3つの問題


矯正治療中の引っ越しでは、大まかに
- 転院先の治療方針が異なる
- 治療費が返金されない
- 治療期間が延びる
といった3つの問題が起こる可能性があります。



どういうことか、それぞれ詳しく解説しますね!
転院先の治療方針が異なる
矯正治療中に引っ越しをする1つ目の問題が、「転院先の治療方針が異なる」ケースです。
実は矯正治療と一口に言っても、
- 歯科医院
- 歯科医師
でそれぞれ治療方針が異なります。
仮に同じ治療器具を使用していても、
- 歯並びを綺麗にする
- きちんとした噛み合わせにする
- 顔のラインを美しくする
- 歯を抜かずに矯正をする
- 短期間で矯正治療を終わらせる
など、治療の目標(優先順位)によって治療法が異なるケースも多いのです。
仮に、転院前と転院先の歯医者で治療方針が異なる場合、一から治療がやり直しになることもあります。



治療方針が似ていても、転院前の歯医者で最初に聞いていた仕上がりとは別のものになってしまうケースも多いので注意しましょう。
治療費が返金されない
矯正治療中に引っ越しをする2つ目の問題が、「治療費が返金されない」ケースです。
ほとんどの歯医者では、治療の進行具合にあわせて返金をしてくれます。
しかし、矯正治療中の返金対応については明確な決まりがないため、中には一度入金した治療費が一切返ってこない場合もあるのです。
また、以下のパターンは返金されないケースが多くなっています。
- すべて矯正装置を装着した後:矯正装置代は返金されない
- 保定装置※をつけている:ほぼ全額返金されない
治療の進行具合に合わせて返金といっても、明確な決まりがない以上、いくらお金が戻ってくるかは歯医者によってそれぞれ異なります。



転居先の歯医者でも、治療費を請求されます。
同時に2つの歯医者で矯正治療費を支払う可能性がある点にも、注意したほうが良いでしょう。


保定装置(別名:リテーナー)とは、矯正治療の装置を外した後に、まだ不安定な歯並びを固定させるために利用する装置です。(取り外しが可能)
歯が矯正治療前の位置に戻ろうとする動き(後戻り)を防止してくれます。
治療期間が延びる
矯正治療中に引っ越しをする3つ目の問題が、「治療期間が延びる」ケースです。
大人の矯正治療は、
- 短ければ数ヶ月
- 長ければ3年以上
の治療期間がかかります。
ただし、
- 治療方針
- 担当医のスキル
- 矯正装置の種類
- 治療範囲
- お口の中の状態
によって治療期間は大きく左右されるため、転院で担当医が変わる影響で、矯正治療の期間が当初の予定より大幅に延びてしまうケースがあるのです。



では次に、矯正治療前に引っ越しが分かっている場合の対処法を3つ紹介しますね。
矯正治療前に引っ越しが分かっている場合の対処法3選


矯正治療前に引っ越し予定がある場合、
- 1年以内に引っ越しするのが決まっている
- 2~3年以内に引っ越しする予定がある
- 引っ越し予定はあるけど時期が未定
の3パターンで対処法が変わります。



どういうことか、一つひとつご説明しますね!
1年以内に引っ越しするのが決まっている
1年以内に引っ越しするのが決まっている場合には、特に急ぎでなければ「引っ越し後に矯正治療をスタートさせるのがおすすめ」です。
なぜなら、
- 矯正治療中の引っ越し問題を抱えずに済む
- 治療後も同じ担当医に状態をチェックしてもらえる
などのメリットがあるからです。
もし、どうしても引っ越し前に矯正治療を終わらせたい場合には、一度歯医者で相談をしてみましょう。
お口の状態や歯医者の治療方針によっては、引っ越し前に矯正治療を終わらせられる可能性があります。



治療経過によっては、当初よりも矯正の治療期間が延びてしまうリスクもあります。
そのあたりも、担当医とよく相談するようにしてくださいね!
2年~3年以内に引っ越しする予定がある
2年~3年以内に引っ越しの予定がある方は、「歯医者に一度相談に行ってみるのがおすすめ」です。
なぜなら、『治療期間が延びる』でも説明したとおり矯正の治療期間は、
- 短ければ数ヶ月
- 長ければ3年以上
になるケースが多く、検査・診断を受けないとどのくらいで矯正治療が終わるかわからないからです。
お口の状態や歯医者の治療方針によっては、引っ越し前に矯正治療を終わらせられるかもしれません。
ただし、矯正治療後の保証を適用させるためには、「矯正治療をした歯医者での定期メンテナンスを受ける」ことが条件になっているケースも多いです。



矯正治療を引っ越し前に終えられるかだけでなく、矯正治療後の保証などがどうなるかについてもしっかり確認しておきましょう!
- 記事後半でも、矯正治療後の保証について詳しく解説しています。
引っ越し予定はあるけど時期が未定
引っ越し予定はあるけど時期が未定の場合には、
- 転院制度のある歯医者を選ぶ
- 日本臨床矯正歯科医会に所属している歯医者を選ぶ
- 返金ルールを契約段階で確認しておく
- 分割払いで支払う
の4つをおさえて、矯正治療をスタートさせるのがおすすめです。
転院制度がある歯医者を選べば、治療中に引っ越しが決まっても「治療方針」「治療費」「治療期間」などの問題を抱えずに治療を継続できます。(※転院制度の内容は歯医者によって異なります)
例えば、当グループの場合は運営している
- 大阪・梅田院
- 東京・新宿院
であれば、どちらでも同じ矯正担当医が治療をするので引っ越しによる影響を受けません。(オランジェグループの転院システム)
また、日本臨床矯正歯科医会に所属している歯医者を選べば、転院時の返金ルールがある程度決まっているので、返金対応への不安を減らせます。
さらに治療をスタートさせる前に、「時期は未定だけど、引っ越し予定があること」を伝えた上で、
- 返金ルールを書面で確認
- 長期間にわけて分割払いにする
対策をしておけば、いざという時にも治療の進行具合に合わせてお金を返金してもらいやすくなります。



では次に、矯正治療中に引っ越しが決まった場合の対処法を3つ紹介します。
矯正治療中に引っ越しが決まった場合の対処法2選


矯正治療中に引っ越しすることが決まってしまった場合には、
- 矯正担当医にまずは相談して紹介状をもらう
- 通える距離なら頑張ってかかりつけ医に通う
の2つの対処法を実践しましょう。



どういうことか、それぞれ詳しく解説しますね!
矯正担当医にまずは相談して紹介状をもらう
- 海外への出張・留学・移住
- 結婚や転勤による引っ越し
など、予期せず矯正治療中に引っ越しが決まった場合には、とにかくまず矯正担当医に相談をしましょう。
引っ越しについて早い段階でかかりつけ医に相談しておくと、矯正担当医やかかりつけ医も、引っ越しに合わせて
- 治療計画の見直し
- 支払い方法の見直し
- 返金対応
- 転居先でおすすめな歯医者のリストアップ
- 紹介状の用意
などの準備ができ、転院がスムーズに進みやすくなります。
特に矯正担当医に転居先での歯医者を紹介してもらえると、治療内容の引き継ぎや治療計画の継続がしやすくなるケースも多いです。



突然の転居報告の場合、歯医者側も焦ってしまい十分な対応ができないことがあります。
引っ越しが決まった段階で、早め早めに相談するようにしましょう!
通える距離なら頑張ってかかりつけ医に通う
30分~1時間程度の頑張れば通えそうな距離に引っ越す場合には、そのままかかりつけ医に通院し続けるのがおすすめでしょう。
なぜなら、
- 転居先の歯医者で治療費を発生させずに済む
- 同じ担当医に診てもらえるので、治療方針が変わらない
など、矯正治療をスタートさせた歯医者に通い続けるメリットは大きいからです。
もし通うのが大変な場合には、矯正担当医に相談をすれば通院頻度を減らしてもらえるケースもあります。
引っ越し後の忙しさなど個人差はあると思うので、可能であれば検討してみてくださいね!



では次に、矯正治療後に引っ越しが決まった際に知っておきたいポイントを紹介していきます。
矯正治療後に引っ越しが決まった際に知っておきたいポイント


矯正治療後に引っ越しが決まった際に1番確認したいポイントは、「保証」がどうなるかです。
矯正には、治療によってキレイになった歯並びが元の位置に戻ってしまう「後戻り」という現象があります。
後戻りする確率は高いわけではありませんが、どの種類の矯正治療(表側・裏側・マウスピース矯正等)でも後戻りする可能性はあるのです。
その際に、後戻り後の再治療が無料・割引になる保証が用意されている歯医者もあります。
しかし、保証が適用になる条件には、治療後も矯正治療をした歯医者のメンテナンスに通い続けることが条件になっているケースが多いのです。
- 保証の有無
- 保証の条件
- 保証期間
- 保証内容
はそれぞれの歯医者で異なります。



治療後に引っ越しが決まった際は、担当医に保証についてどうなるかを確認しておきましょう!
結論:矯正治療と引っ越しの問題&対処法
では最後に、矯正治療と引っ越しの重要なポイントだけを簡単におさらいしていきます。
矯正治療中の引っ越しでは、
- 転院先の治療方針が異なる
- 治療費が返金されない
- 治療期間が延びる
といった3つの問題が起こる可能性があります。
そのため、矯正治療前は、
- 1年以内に引っ越しするのが決まっている
→引っ越し後に矯正治療をスタート - 2~3年以内に引っ越しする予定がある
→歯医者で矯正のタイミングを相談 - 引っ越し予定はあるけど時期が未定
→返金対応してもらいやすい歯医者選びをする
の3つを意識するのが重要です。
矯正治療中に引っ越しが決まった場合には、
- 矯正担当医にまずは相談して紹介状をもらう
- 通える距離なら頑張ってかかりつけ医に通う
の2つの対処法を実践してみてください。
矯正治療後に引っ越しする場合には、後戻り時の保証適用がどうなるかを担当医によく確認しておくのがおすすめでしょう。
以上、今回は矯正治療と引っ越し問題&対処法についてお話しました。
歯医者によって、引っ越し時の対応は大きく異なります。



最終的には、現在の担当医の裁量で返金や転居先の歯医者の紹介の質などが変わるケースが多いです。
まずは引っ越しで困ることがないように、本記事で紹介したような信頼できる歯医者を探してみてくださいね!
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