叢生(そうせい:でこぼこな歯並び)が気になっているけど、治療をせずに放置している方。
叢生の程度にもよりますが、矯正担当医目線でみると、そのままにしておくのはおすすめできません。
なぜなら、叢生を放っておくと
- 加齢に伴って叢生が悪化したり
- お口の中の健康を害したり
する可能性が高いからです。
とはいえ、いくら放っておかないほうがいいと言われても、

放置すると、具体的にどんなリスクがあるの?



治す場合には、どんな治療法が選べていくらかかるの?
治療法別のメリット・デメリットは??
といったポイントが分かっていないと、いまいちピンと来ませんよね。
そこで本記事では、日本矯正歯科学会・認定医の下元が
の順に、叢生を治療しようか迷っている方に役立つ情報を厳選して紹介していきます。



本記事を読み終える頃には、叢生への悩みがかなり解消されているはずです。
ぜひ、参考にしてみてくださいね!
下元 康英(しももと やすひで)
大阪(梅田)・東京(新宿)の2院で理事長と矯正担当医を兼務。
患者さま利益を追求した治療をするために、治療の長所だけでなく欠点も丁寧に伝えるカウンセリングに力を入れている。


日本矯正歯科学会・認定医
オランジェ矯正歯科グループ理事長
そもそも叢生(そうせい)とは?


叢生(そうせい)とは、
- 歯がでこぼこ(ガタガタ)していたり
- 歯と歯が重なり合っていたり
する歯並びの状態のことで、別名
- 乱ぐい歯
- がちゃ歯
- 八重歯
などと呼ばれている不正咬合のことです。



では次に、叢生になる原因について紹介していきます。
叢生になる原因


叢生になる原因は大きく分けて、
- 顎のスペースに対して歯が大きい(遺伝)
- 乳歯が早く抜けてしまった
- 親知らずの影響
- 生活習慣(癖や口呼吸)
の4つが考えられます。
第一に、顎の骨が小さ過ぎたり永久歯のサイズが大き過ぎたりすると、永久歯が並ぶスペースが足りない影響で叢生になりやすいです。
第二に、
- 乳歯が通常よりも早く抜けたり
- 虫歯が原因で本来乳歯が抜ける時期よりも早く抜歯したり
すると、永久歯が生えてくる位置がずれて叢生になることがあります。
第三に、親知らずが横向きや斜めに生えていて後方から歯を押している場合も、前歯が重なったりでこぼこな歯並びになりやすいです。
第四に、
- 口呼吸
- 指しゃぶり
- 悪い姿勢
- 唇を噛む
- 舌を突き出す癖
などの生活習慣や癖も叢生の原因になります。



では次に、この叢生を治療せずに放置するリスクについて詳しくお話していきます。
叢生を治療せずに放置する4つのリスク


叢生を治療せずに放置すると、将来的に
- 虫歯や歯周病になりやすくなる
- 口臭が発生しやすい
- 噛み合わせによっては咀嚼率が低下する
- 口内炎ができやすくなる
の4つがリスクが発生しやすくなります。



それぞれどういうことか、詳しくお話していきますね!
①虫歯や歯周病になりやすくなる
第一に、叢生を治療せずに放置すると、虫歯や歯周病になりやすくなります。
なぜなら、叢生のままの状態だと歯と歯が重なっている部分に歯ブラシをうまく当てるのが難しく、磨き残しができやすいからです。
また、虫歯や歯周病になった部位を治療しても、同じ部位に汚れが蓄積しやすいため、虫歯や歯周病が再発しやすくなります。



治療を繰り返すことで、結果的に歯の寿命も短くなってしまうでしょう。
②口臭が発生しやすい
第二に、叢生を治療せずに放置すると、口臭が発生しやすくなります。
なぜなら、叢生は汚れが蓄積しやすく、口臭を発生させる
- プラーク(歯の汚れ)
- 舌苔(ぜったい:舌の汚れ)
- 歯周病
- 虫歯
などができる原因になりやすいからです。



口臭原因の約9割は、お口の中にあります。
お口の衛生状態を保ちにくい叢生は、口臭の元になりやすいと覚えておきましょう!
③噛み合わせによっては咀嚼率が低下する
第三に、叢生を治療せずに放置すると、噛み合わせによっては咀嚼率が低下します。
なぜなら、叢生のようにでこぼこ・ガタガタの歯並びの場合、上の歯と下の歯の噛み合わせのバランスが崩れていることが多く、しっかり噛めない方が多いからです。
十分に噛めないと消化が悪くなり、胃腸に悪影響を与える可能性もあります。



叢生の欠点は、よく噛まずに丸呑みする癖がついてしまうことです。
お子さまの場合は変な癖がつく前に、歯医者で治療のタイミングを相談しましょう。
④口内炎ができやすくなる
第四に叢生を治療せずに放置すると、歯が舌や頬に当たって口内炎ができやすくなります。
特に八重歯などの外側に向いている歯が唇の内側を傷つけやすく、口内炎ができやすいです。
また、稀に歯並びからはみ出した歯が持続的に粘膜を刺激した結果、口腔ガンの原因になってしまうケースがあります。



では次に、そんな放置リスクが高い叢生の治療法について詳しく紹介していきます。
叢生を放置せずに治すなら!選べる4つの治療法


叢生を治療する場合には、年齢やお口の状態に合わせて
- 床矯正(しょうきょうせい)
- ワイヤー矯正
- マウスピース矯正
- 【非推奨】セラミック矯正
の4つの中から治療を選ぶのが一般的です。



それぞれのメリット・デメリットをこの後に詳しく紹介していきますね!
①床矯正のメリット・デメリット


床矯正(しょうきょうせい)とは、乳歯と永久歯が生えている混合歯列期(6歳〜11歳くらい)の子どもを対象とした、顎を広げて歯並びを整える治療法です。
費用の目安は、約15万~60万円前後になります。
- 費用は、治療内容や歯医者によって大きく異なります。
メリット
メリットは、
- 歯を抜かずに歯並びが治せる可能性が高い
- 取り外し可能で、歯磨きや食事がしやすい
- 口内炎になりにくい
- ワイヤー矯正よりも費用が安い
ところで、装着感や費用面で優れているポイントが多くなります。
デメリット
一方で、
- 床矯正ができる年齢(タイミング)が限られている
- 取り外しができる分、子供本人の自己管理が重要になる
- 1日最低10時間以上は装着しないと治療効果を得にくい
- 比較的軽度な叢生でないと対応できない
など、自己管理の手間や時間・タイミング・適応症例の制限が大きなデメリットになっています。
②ワイヤー矯正のメリット・デメリット


ワイヤー矯正とは永久歯が生え揃った年齢向けの治療法で、歯にブラケットやワイヤーと呼ばれる固定式の装置を取り付けて歯並びを整えます。
費用目安は、約80万~120万円です。
- 費用は、治療内容や歯医者によって大きく異なります。
メリット
メリットは、
- 治療実績や歴史があり、重度の叢生にも対応できる
- 取り外しできない分、付け忘れや装着時間を気にする必要がない
ところで、安定的な治療ができる点が魅力です。
デメリット
一方で、
- 矯正装置が目立ちやすい
- ガムなどの粘着性がある食材や硬いものは避けなければならない
- 歯磨きがしにくくなる
- 装置でお口の中を傷つけてしまうことがある
など、装着感や審美面のデメリットが気になる方が多いでしょう。



見た目が気になる場合は、目立ちにくい審美ブラケットやワイヤーに変更する方法もあります。
詳しくは、担当医に相談してみましょう。


③マウスピース矯正のメリット・デメリット


マウスピース矯正とは、主に永久歯が生え揃った年齢向けの治療法で、透明なマウスピース型の取り外しできる装置で歯を動かして歯並びを整えます。
費用目安は、約20万~120万円です。
- 費用は、治療内容や歯医者によって大きく異なります。
メリット
メリットは、
- 透明でつけていても目立たない
- 取り外し可能で食事や歯磨き中の制限がない
- 口の中を傷つけにくい
ところで、ワイヤー矯正とは異なり装着感や審美面での魅力があります。
デメリット
一方で、
- 比較的軽度な叢生でないと対応できない
- 1日20時間ほど装着しないと治療効果が出にくい
- 飲食の際は取り外し、装着前に歯磨きする手間がある
など、自己管理の手間や適応症例が少ないといったデメリットが大きいです。



マウスピース矯正は、どこまでご自身で時間を守って装着できるかが治療を成功させるポイントになります。
性格的に心配な方は、当院のようなお試し矯正システムを採用している歯医者で自分に合う治療法を選んでみましょう!
④【非推奨】セラミック矯正のメリット・デメリット


セラミック矯正は永久歯が生え揃った年齢を対象としており、天然歯(自分の歯)を削ってセラミック素材の人工歯を被せることで、歯並びや見た目を改善させる治療法です。
費用目安は、約6万~70万円になります。
- 費用は、治療内容や歯医者によって大きく異なります。
メリット
メリットは、
- 治療期間が短い(約2ヶ月~3ヶ月)
- 矯正の装置をつけずに、歯並びや見た目を改善できる
- 後戻り(矯正前の歯並びに戻る現象)しない
- 歯を動かす際の痛みや不快感がない
ところで、治療期間の短さや治療中の煩わしさがない点が魅力になっています。
デメリット
一方で、
- 健康な歯を削らなければならない
- 虫歯や歯周病のリスクが上がる
- 経年劣化でセラミックを作り直す際は、再度費用がかかる
- 歯の状態によっては神経を抜く必要がある
- 歯並びを根本的に治すわけではないので、噛み合わせに違和感が出るケースが多い
など、長期的なお口の健康や美しさを考えた際にデメリットが大きい治療法です。





では次に、叢生に関するよくある質問にお答えしていきます。
叢生に関するよくある質問3選


ここからは、叢生について患者さまからよくいただく
- 叢生を治すためには、抜歯が必要ですか?
- 叢生が自然治癒することはありませんか?
- 子供の叢生治療は何歳くらいから始めたほうが良いですか?
の3つの質問にお答えしていきます。



それぞれ一つひとつ回答していきますね!
Q1:叢生を治すためには、抜歯が必要ですか?
A.必ず抜歯が必要になるわけではありません。
ただし、どうしても顎のスペースに歯が並びきらない場合は、噛み合わせへの影響が少ない歯を抜歯したほうがメリットが大きいケースもあります。
なぜなら、無理に非抜歯にこだわってしまうと歯並びは改善できても、
- 噛み合わせの機能が落ちる
- 口元のシルエットが悪くなる
- 綺麗な歯並びにしても後戻りしやすい
- 歯を支える骨が溶ける(歯周病になる)リスクがある
などの問題が発生するケースがあるからです。
抜歯矯正と非抜歯矯正にはそれぞれメリットとデメリットがあり、一概にどちらが良いとは言えません。
抜歯・非抜歯によるトラブルを避けたい場合には、以下のポイントを満たす歯医者を選ぶのがおすすめでしょう。
- 精密な検査や診断を行ってくれる
- 歯並び・見た目・噛み合わせのすべてを考えた総合的な治療計画を立てくれる
歯医者を選びましょう!
あなたのお口の状態に合わせた最適な治療プランを提案してくれるので、抜歯・非抜歯の判断を委ねやすいです。


Q2:叢生が自然治癒することはありませんか?
A.基本的には、叢生に限らず一度悪くなった歯並びが自然治癒することはありません。
ただし、お子さまの場合には、成長の過程で自然に治る歯並びもあります。



経過観察すべきかを検査せずに判断するのは、難しいです。
気になる場合は、一度矯正治療に積極的な歯医者で相談してみましょう!
Q3:子供の叢生治療は何歳くらいから始めたほうが良いですか?
A.治療をスタートさせるタイミングは、ケースバイケースです。
ただし、最適な治療タイミングを逃さないために、上下の永久歯が生え始めた6~7歳頃に相談しに行くのがおすすめでしょう。
早めに歯医者で相談をすれば、経過観察をしながらベストなタイミングで治療をはじめられます。



特にお子さまの場合には、治療の開始タイミングによって選べる治療法が変わります。
最適な治療時期を見逃さないためにも、早め早めに歯医者で相談するようにしましょう。
結論:叢生は放置せず早めに歯医者で相談しよう!
それでは最後に、叢生と歯列矯正について重要なポイントだけを簡単におさらいしていきます。
叢生(そうせい)とは、
- 歯がでこぼこ(ガタガタ)していたり
- 歯と歯が重なり合っていたり
する歯並びの状態(不正咬合)のことです。
叢生になる原因は大きく分けて、
- 顎のスペースに対して歯が大きい(遺伝)
- 乳歯が早く抜けてしまった
- 親知らずの影響
- 生活習慣(癖や口呼吸)
の4つがあります。
叢生を治療せずに放置すると、将来的に
- 虫歯や歯周病になりやすくなる
- 口臭が発生しやすい
- 噛み合わせによっては咀嚼率が低下する
- 口内炎ができやすくなる
の4つのトラブルが発生するリスクが高まるでしょう。
叢生を治療する場合には、年齢やお口の状態に合わせて
- 床矯正(しょうきょうせい)
- ワイヤー矯正
- マウスピース矯正
- 【非推奨】セラミック矯正
の4つの中から治療を選ぶのが一般的です。
ただし、それぞれメリット・デメリットがあるので、信頼できる担当医と相談の上、治療法をよく比較検討したほうが良いでしょう!
以上、今回は叢生を放置するリスクについて紹介しました。



特にお子さまの場合は、治療の開始タイミングによって選べる治療法が変わってきます。
悩んでいる場合には、できるだけ早めに歯医者で相談してみましょう!
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