「なんだか最近、出っ歯がひどくなった気がする」と思ったことはありませんか?
実際に、歯列矯正のカウンセリングにいらした患者さまからも、

出っ歯が年々進行することってあるんですか?



出っ歯を治療せずに、放置したらどうなるんですか?
とご質問をいただくことがあります。
結論からお伝えすると、すべての方の出っ歯が絶対に悪化するわけではありません。
ただし、中には治療をしないと、出っ歯の状態が年齢を重ねる毎に少しずつひどくなってしまうケースがあります。
そこで本記事では、日本矯正歯科学会・認定医の下元が
- 出っ歯がどんどんひどくなる5つの原因
- ひどくなる出っ歯を放置した場合に起こる3つの悪影響
- 出っ歯がひどくなるケースに該当する場合の対処法
- 出っ歯治療で信頼できる歯医者を選ぶ6つのポイント
の順に、出っ歯治療をしようか迷っている方に有益な情報を紹介していきます。



出っ歯について真剣に悩んでいる方に、1つでも参考にしていただけたら嬉しいです。
では、さっそく本文に移っていきましょう!
下元 康英(しももと やすひで)
大阪(梅田)・東京(新宿)の2院で理事長と矯正担当医を兼務。
患者さま利益を追求した治療をするために、治療の長所だけでなく欠点も丁寧に伝えるカウンセリングに力を入れている。


日本矯正歯科学会・認定医
オランジェ矯正歯科グループ理事長
出っ歯がどんどんひどくなる5つの原因


いわゆる出っ歯「別名:上顎前突(じょうがくぜんとつ)、口ゴボ」は、さまざまな要因により少しずつ状態が悪化していくことがあります。
具体的には、
- 噛み合わせの悪さ
- 生活習慣(口呼吸や癖)
- 歯周病や虫歯の進行
- 歯ぎしりや食いしばり
- 親知らず
の5つが原因で、歯並びや噛み合わせの乱れが発生して、出っ歯がどんどんひどくなるケースがあるのです。



それぞれどういうことか、ご説明していきますね!
①噛み合わせの悪さ
出っ歯がどんどんひどくなる1つ目の原因が、「噛み合わせの悪さ」です。
噛み合わせのバランスが悪く、奥歯に強い負荷がかかりやすい方の場合、年齢を重ねるにつれて奥歯がすり減って噛み合わせが低くなることがあります。
その影響で、
- 下の前歯が上の前歯を
- 突き上げる力が強くなることで
上の前歯が広がって、出っ歯が悪化してしまうことがあるのです。
この現象は歯並びの加齢変化で、フレアアウトと呼ばれています。



出っ歯の人は、成人した20代以降からでもさらに出っ歯が悪化する可能性があると覚えておきましょう。
②生活習慣や癖
出っ歯がどんどんひどくなる2つ目の原因が、「生活習慣(口呼吸や癖)」によるものです。
具体的には、以下のような生活習慣によって歯並びや噛み合わせが悪くなり、出っ歯がひどくなるケースがあります。
出っ歯を悪化させる生活習慣
- 爪噛みや指しゃぶり
- 慢性的な口呼吸
- 飲み込むときに舌を前に突き出す舌癖(ぜつへき)
- 小さい頃から柔らかいものばかり食べている
③歯周病や虫歯の進行
出っ歯がどんどんひどくなる3つ目の原因が、「歯周病や虫歯の進行」によるものです。
歯周病や虫歯によって、
- 歯が傾いたりグラグラしたり
- 歯がボロボロになったり
- 失った歯を抜けたままにしたり
していると、噛み合わせや歯並びが乱れて出っ歯がひどくなるケースがあります。
④歯ぎしりや食いしばり
出っ歯がどんどんひどくなる4つ目の原因が、「歯ぎしりや食いしばり」です。
成人の噛む力は一般的に約40~70㎏と言われていますが、睡眠時の無意識下の歯ぎしりや食いしばりでは約300㎏もの力が歯に加わります。
そのため、歯ぎしりや食いしばりによって歯の損傷がひどくなると、
- 歯が摩耗して噛み合わせが変わる
- 歯が徐々に移動したり傾いたりする
- 歯が清潔な状態でも歯周病が進行する
などの影響で歯並びや噛み合わせが悪くなり、出っ歯が悪化してしまうケースがあるのです。
⑤親知らず
出っ歯がどんどんひどくなる5つ目の原因が、「親知らず」です。
医学的には、親知らずがあるからといって必ず出っ歯が進行するわけではありません。
ただし、
- 先天的に下アゴが小さく親知らずが生えてくるスペースがない
- 親知らずが横向きや斜め方向に生えて、前の歯を後ろから押している
- 歯肉や骨に埋まって、一部でも歯が露出している
など、親知らずの生え方や状態に問題がある場合には、出っ歯がひどくなるケースがあります。





では次に、ひどくなる可能性が高い出っ歯を、治療せず放置した場合に起こる3つの悪影響を紹介していきます。
ひどくなる出っ歯を放置した場合に起こる3つの悪影響


ここまで紹介した5つのケースに該当する「悪化しやすい出っ歯」を治療せずに放置した場合は、
- 見た目に自信が持てなくなる
- お口の中の環境が悪くなる
- 前歯が欠けたり折れたりしやすくなる
といった3つの悪影響が起こると予測されます。



一つひとつどういうことかお話していきますね。
①見た目に自信が持てなくなる
第一に、悪化しやすい出っ歯を治療せずに放置した場合は、「見た目への自信を持てなくなる可能性が高い」です。
なぜなら、軽度の出っ歯ではそこまで目立たなくても、出っ歯の状態が進行してしまうと
- 横顔美人の一つの基準である
- Eラインが著しく崩れてしまう
ケースが多いからです。
口を閉じていても横顔から出っ歯なのがわかってしまうと、より見た目へのコンプレックスを強く感じやすいでしょう。



歯並びは、第一印象を大きく左右します。
歯並びを気にせずコミュニケーションを取りたい方は、出っ歯が悪化する前に治療を検討するのがおすすめです。
②お口の中の環境が悪くなる
第二に、悪化しやすい出っ歯を治療せずに放置した場合は、「お口の中の環境が悪くなる可能性が高い」です。
なぜなら、出っ歯が悪化すると前歯が当たる影響で口を閉じにくくなり、
- お口の中が乾燥する時間が増えて
- 歯を守ってくれる役割を果たす
- 唾液が分泌されにくくなって
虫歯や歯周病が進行しやすくなるからです。
歯が正しい位置になければ、歯ブラシを当てるのも難しくなり汚れも溜まりやすくなります。
また、口が閉じにくい影響で自然と口呼吸も増え、
- 風邪をひきやすくなる
- 口臭が発生する
- 睡眠を妨げる
- ほうれい線や口元のたるみの原因になる
など、出っ歯問題が歯だけに留まらなくなるケースも珍しくありません。



お口の中を含む全身的な健康や美を考えた場合には、やはり出っ歯がひどくなる前に治療を検討するのがおすすめでしょう!
③前歯が欠けたり折れたりしやすくなる
第三に、悪化しやすい出っ歯を治療せずに放置した場合は、「前歯が欠けたり折れたりしやすく」なります。
というのも、出っ歯が悪化すると怪我や転倒した際に他の歯よりも前歯をぶつける確率が高くなるからです。



では次に、出っ歯がひどくなるケースに該当する場合の対処法を紹介していきます。
出っ歯がひどくなるケースに該当する場合の対処法


大前提として、
- すでに出っ歯になっている歯並び
- 遺伝による噛み合わせの悪さ
の2つを根本的に治す方法は「矯正治療」しかありません。
また、出っ歯が悪化する要因は1つではない場合も多いので、以下のケースにも該当する際は一緒に対処していく必要があるでしょう。
出っ歯を悪化させる要因への対処法例
出っ歯を悪化させる要因 | 対処法 |
---|---|
生活習慣(口呼吸や癖) | ・睡眠時無呼吸症候群や慢性的な花粉症や鼻づまりの治療を受ける ・家族や知人に癖を指摘してもらう ・歯科で癖改善のトレーニング(MFTなど) |
虫歯や歯周病 | ・一般歯科治療を受ける |
歯ぎしりや食いしばり | ・就寝時にマウスピース(ナイトガード)をつける |
親知らず | ・問題がある親知らずの場合は抜歯をする |
上記のどの要因で出っ歯が悪化しているかは、詳しく検査してみないとわからないことも多いです。
気になる場合には、一度矯正治療に積極的に取り組んでいる歯医者で相談してみましょう!



では次に、出っ歯治療で選べる「歯列矯正の費用」や「治療期間」について詳しくお話していきます。
出っ歯治療で選べる歯列矯正の費用や治療期間
出っ歯治療で選べる歯列矯正の方法は、大きく分けて
- ワイヤー矯正
- マウスピース矯正
- セラミック矯正
の3つになります。
それぞれの違いについては、以下の表を参考にしてください。
治療法別の費用や治療期間の目安
ワイヤー矯正 | マウスピース矯正 | セラミック矯正 | |
---|---|---|---|
イメージ※1 | ![]() ![]() | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
治療法 | 歯を根本から動かす | 歯を根本から動かす | 歯を削って被せ物を入れる |
矯正装置 | つける | つける | つけない |
治療期間※2 | 約1年~3年 | 約1年~3年 | 約2ヶ月~3ヶ月 |
費用相場※3 | 約80万~120万円 | 約20万~120万円 | 約6万~70万円 |
- 1:治療内容によって、使用する装置や治療範囲が大きく異なります。
- 2:治療期間は、お口の中の状態や治療方針によって大きく異なります。
- 3:費用は、治療内容や歯医者によって大きく異なります。



でも、出っ歯を治すのにどの治療法が自分にとって最適なのかわからないわ!



そういったときは、まずそれぞれの治療法のメリット・デメリットを知るのが重要ですね!



なるほど!じゃあ、最初はワイヤー矯正について教えてください!!



ワイヤー矯正は、最も歴史がある治療法です。
歯がねじれたり重なったりしている高難易度の出っ歯も治療できるメリットがあります!
一方で、歯に装置をつけるので見た目が気になるなどがデメリットになっていますね。



マウスピース矯正はどうですか?



マウスピース矯正は、透明で目立ちにくく装置を取り外しできるメリットがあります。
一方で、「重度の出っ歯治療には適応していない」点や「1日20時間ほど装着しないと効果が出にくい」点がデメリットですね。



セラミック矯正が他の治療法と比べて、費用も安く治療期間が短いのが気になります。
なにか理由はありますか?



セラミック矯正は、歯を削ってセラミックの被せ物をして見た目の改善をする治療法です。
歯を動かさないので短期間で出っ歯を治せたように見えますが、歯の根元はデコボコのまま。
健康な歯も削らなければならないので、長期的なお口の健康や美しさを考えて出っ歯を治したい方にはおすすめできませんね。



よくわかりました!
でも、実は出っ歯治療をするには”歯を抜かなければならない”と聞いたことがあって不安なんです。



そちらについては、長くなりそうなのでこの後に詳しく説明していきますね。


歯を抜かなくても出っ歯は治療できる?
結論からお伝えすると、歯を抜かなくても出っ歯は治療できます。
ただし、どうしても顎のスペースに歯が並びきらない場合は、噛み合わせへの影響が少ない歯を抜歯したほうがメリットが大きいケースもあるでしょう。
なぜなら、無理に非抜歯にこだわってしまうと歯並びは改善できても、
- 噛み合わせの機能
- 口元のシルエット
などのお悩みを解消できないケースがあるからです。
抜歯矯正と非抜歯矯正にはそれぞれメリットとデメリットがあり、一概にどちらが良いとは言えません。
トラブルを避けるためには、
- 精密な検査や診断を行い
- 歯並び・見た目・噛み合わせ
- すべてを考えた総合的な治療計画を立てられる
歯医者を選ぶのが重要です。



では次に、出っ歯治療をする際の歯医者選びのポイントを紹介していきます。
出っ歯治療で信頼できる歯医者を選ぶ6つのポイント


出っ歯治療で信頼できる歯医者を選びたい場合には、歯医者HPや予約時の電話などで以下の6つのポイントを事前にチェックするのがおすすめです。
出っ歯治療で信頼できる歯医者を選ぶ6つのポイント
- 日本矯正歯科学会の認定医以上の歯科医師が在籍している
- 複数の矯正装置が選べる
(表、裏側やマウスピースなど) - 矯正のメリットだけでなく、デメリットも丁寧に説明してくれる
- 費用や料金制度についても具体的に説明してくれる
- 矯正治療中のトラブルにもすぐ対応できるスタッフが揃っている
- 通いやすい環境が整っている
(約1~3年ほど、月に1~2回の頻度で通院できそう)



歯医者によって、治療方針や得意な治療法が異なります。
判断が難しい場合にはセカンドオピニオンなどを利用して、納得のいく状態で治療をスタートさせられるようにしましょう!




結論:出っ歯がひどくなるのが心配なときは歯医者で相談!
それでは最後に、「出っ歯が年々ひどくなる問題」について重要なポイントを簡単におさらいしていきます。
すべての方の出っ歯が、絶対に悪化するわけではありません。
ただし、中には治療をしないと、出っ歯の状態が年齢を重ねる毎に少しずつひどくなってしまうケースがあります。
具体的には、
- 噛み合わせの悪さ
- 生活習慣(口呼吸や癖)
- 歯周病や虫歯の進行
- 歯ぎしりや食いしばり
- 親知らず
の5つが原因となって、出っ歯の状態がどんどん悪くなることがあるのです。
また、悪化しやすい状態の出っ歯を治療せずに放置した場合は、
- 見た目に自信が持てなくなる
- お口の中の環境が悪くなる
- 前歯が欠けたり折れたりしやすくなる
といった3つの悪影響が発生することが予測されます。
出っ歯をこれ以上悪化させないためには、歯並びや噛み合わせの根本的な治療である歯列矯正と合わせて、複数の出っ歯を進行させる要因を潰していく必要があるでしょう。
一口に出っ歯治療と言っても、歯医者によって得意分野や治療方針が異なります。
まずは本記事で紹介した歯医者の選び方を参考に、信頼できる担当医を見つけてくださいね!
以上、今回は年々進行する出っ歯についてお話しました。



出っ歯の状態が悪化する前に歯列矯正をしたほうが、結果的に早く治療が終わります。
悩んでいる方は、早めに歯医者で相談するようにしましょう!
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